日本公認会計士協会 組織内会計士ウェブサイト【組織内会計士の活動事例】
株式会社アスカネット 常務取締役CFO 功野 顕也 氏 ―― 会計士を目指した経緯(理由)をおしえてください。
―― 監査法人ではどのような業務に従事されていましたか。 |
―― 監査法人から組織内会計士になった理由をおしえてください。
功野氏:IPO準備会社に入り込んで、お手伝いしていると、外部の立場としてではなく、内部の人間として汗をかきたいという気持ちが強くなりました。監査法人の立場もいろんな規模、業種の会社と関われるし、その経営者と接することもできる魅力はあるのですが、会社に入って、実務にどっぷりと浸かりたい気がしたんです。たとえ会社がうまくいかなかったとしても、自分の経験としては絶対に大きな価値になると言い聞かせましてね。
―― 組織内会計士としての略歴をおしえてください。
功野氏:監査法人時代に担当だった縁から今の会社に移りました。もう13年になります、早いもんです。
最初から、管理部門の責任者という立場で、経理、財務、総務、人事、経営企画などを広い領域をカバーしつつ、公開準備を推進していきました。
入社2年後に取締役に就任し、経営者としての立場も担うことになりました。
紆余曲折、山あり谷ありでしたが、入社6年後になんとか上場することができました。その後は、上場会社として管理部門を統括しつつ、IRとか、人事制度とか、組織とか、総会運営とか色々携わってきました。
―― 現在の仕事内容についておしえてください。
功野氏:現在は、常務取締役CFOという役職にあります。管理部門は、部長が育ちましたので、内部的なマネジメントはかなり任せています。IRとか金融機関、監査法人などの外部折衝や、教育研修、経営企画業務、そして、最近は新規事業の担当もさせてもらっていますので、結構範囲は広いですね。
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―― 組織内会計士として公認会計士であることの強みとは何でしょうか。
功野氏:まずは、会計を体系的にしっかりと理解していることではないでしょうか。企業にいますと、色々な事象が発生し、それが会計的に影響します。新しい事業が発生しても、会計を体系的に理解していれば、瞬間的な判断もそれほど外れないですし、調査するにしても勘所が分かるのでそんなに手間暇はかからないはずです。また、こんな事象が発生しそうだと匂いをかぎ、前もって適切な準備ができる感度の高いアンテナも持っていることでしょう。あとは、資格を持っているということで、頼られますね、内部的には。そうすると色んな情報が入ってきますし、知識、経験となり、力が付きやすいのではないでしょうか。外部的には、安心してもらえますね。公開準備をするにしても、監査を受けるにしても、公認会計士� ��会社にいるということで、スムーズに進む局面はあったように思います。
―― 監査法人経験の強みとは何でしょうか、又は監査法人の経験が今に活かされていると思うことはありますか。
功野氏:やはり、色んな会社を見ることができたことでしょうか。大きな会社のいい所、問題な所、ベンチャー企業の活気や危うさ。また、経営者とのコミュニケーションでその感覚を肌で感じることができたのは財産です。あとは人脈。困った時、監査法人時代の仲間、先輩や、当時お世話になったクライアントの方に色々と相談させてもらっていますね。
あとは、企業を外から観る見方を理解しているということでしょうか。企業にいると内部の理屈でものごとを判断しがちですが、外からの見え方をちょっとサジェッションすると、より適切な判断に繋がる気がします。
―― 企業内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか(資質やスキルなど)
功野氏:まずは、コミュニケーション能力。営業、生産、企画、人事・・・企業内には色々な機能があって成立しているので、それぞれを尊重し、謙虚な姿勢により、分かりやすい言葉で話できることが大切かと思います。それに必要なのは相手の立場に対する想像力でしょうか。
あと、専門性を上手く発揮する知恵。公認会計士である以上、その専門性を発揮することが期待されているわけですが、一人よがりに知識をぶちまけても、だれも付いてきてくれません。相手の目線、何を要求されているのか、タイミングなどを見計らって、効果的に専門性を発揮する工夫がいるかもしれません。
―― 組織内会計士になってみて感じていること、勉強になったと思うことをおしえてください
功野氏:やはり当事者であるということです。もちろん、実務はしっかりと理解しなければなりませんし、自分で解決できない場合は、知恵を借りられるネットワークが必要でしょう。経理でいえば、数字を作るわけですが、作るだけで不十分で、利用者に分かりやすく、いいタイミングで提供する必要もあります。
あとは、経営に携われることです。大変責任もあるのですが、勉強にもなりますし、面白いと感じます。
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―― ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか。
功野氏:顧客の立場になって考えるということです。ここでいう顧客とは外部のお客さんだけではありません。例えば、給与計算であれば、社員全員がお客さんですし、新人研修を企画するのであれば、新入社員がお客さんなわけです。また、月次決算の資料であれば、経営会議の出席者がそれを利用してくれるお客さんなのです。それぞれのお客さんがなにを求めているか、どうしたら喜んでもらえるか、それを考えることが大事だと思っています。
―― 若手会計士(または受験中の若者)へのメッセージをいただけますか。
功野氏:ありきたりですが、公認会計士の資格を取ることがゴールではありません。特に、企業内に入ると資格がなくてもできる仕事ばかりです。ただ、公認会計士資格を持っていると、その人次第で良いファストパスになるはずです。昨今厳しい業界環境ではありますが、会計の知識を持ったうえで、+αがある人材は非常に付加価値が高いと思います。
―― 趣味(余暇の過ごし方など)はなんですか。
功野氏:小さい子供が三人いるので、子供たちと遊ぶのが何よりの楽しみです。
ゴールドマン・サックス証券株式会社 コントローラーズ 小笠原 崇雅 氏 ―― 会計士を目指した経緯(理由)をおしえてください。
―― 監査法人ではどのような業務に従事されていましたか。 |
―― 監査法人から組織内会計士になった理由をおしえてください。
小笠原氏:日米の監査法人で通算8年ほど会計監査を担当し、さまざまなクライアントを通じて幅広い経験をすることができ、充実感はありました。しかし、次第に財務諸表の作成者の立場として、異なる角度から会計に関わっていきたいとの気持ちが強くなり、ゴールドマン・サックスに転職しました。
―― 組織内会計士としての略歴をおしえてください。
小笠原氏:ゴールドマン・サックス証券株式会社のコントローラーズ(いわゆる経理部)にて6年半ほど勤務しています。最初に配属された部署では、おもにゴールドマン・サックスのグループ会社による日本での自己勘定投資に関わる会計業務を担当していました。その後、現在のアカウンティング・ポリシー・グループに異動しました。
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―― 現在の仕事内容についておしえてください。
小笠原氏:現在の職務内容は財務諸表を直接作成するのではなく、日本国外も含め社内のあらゆる部門で行われる取引に関して高度な会計的判断が求められる際に、会計の専門家として分析、助言及び判断を行っております。アカウンティング・ポリシー・グループは全員が世界各国の会計のプロフェッショナルであり、米国のEITFやIFRS解釈委員会の委員なども務めています。日々の議論を通じて、金融会計の最先端の動向を日々学ぶことができ、とても刺激的です。グローバルな投資銀行という業態上、取り扱う領域は複雑多岐にわたり、会計はもちろんのこと最新の金融ビジネスに関する広範な知識が求められます。また、取り扱う会計基準も、日本基準、米国基準およびIFRSと広範なため、毎日が研鑽の日々です。
―― 組織内会計士として公認会計士であることの強みとは何でしょうか。
小笠原氏:公認会計士の資格取得はあくまでスターティングポイントであって、資格試験で勉強したことがすぐに実務で使えるというわけではありません。しかし、体系的に学んだ知識は実務を行う上で基礎となり、自分自身への自信にもつながると考えています。
―― 将来進みたい方向はありますか。また、それをかなえるための課題はありますか。
小笠原氏:弊社では、コントローラーズはもちろんですが、ほかにも投資銀行部門、投資調査部門あるいは内部監査部などで組織内会計士の資格を生かして活躍されている方が多くいます。私としては、より国際的な会計士としての専門性を磨き、弊社の業務を通じて金融市場及び会計業界の発展に少しでも貢献できるよう努力していきたいです。
SBIホールディングス株式会社 内部監査部長 株式会社SBI証券 取締役 日下部 聡恵 氏 日下部氏:大変お恥ずかしいのですが、あまり積極的な理由ではなく、経済学部に在学している自分が、女性であっても遜色なく働けるためには資格くらいあったほうがいいだろうというのが正直なところです。 資格であるとか、企業人になるのではなく独立専門家になることなどに特にこだわりはありませんでした。 |
―― 監査法人ではどのような業務に従事されていましたか。
日下部氏:金融機関の会計監査が主でした。
入所から数年は業種の区別なく、製造業(食品・機械など)、関連の流通業などにもスタッフとして監査に従事していましたが、当初から金融業の関連業務に携わりたかったため、強く金融機関の監査をメインで担当したいと希望しました。入所当初から、メインとしては大手の証券会社とそのグループ会社、銀行、信託銀行、生命保険会社の監査に従事していました。
その後三次試験に合格する前後からメインのクライアントが定まってきましたが、金融業の中でも一貫して証券業、ある日本最大手の証券会社のあらゆる事業局面を深く知りつつ会計監査人としてプレゼンスを示したいと強く思うようになりまして、幸運なことにかなり早い時期からインチャージとして証券会社やグループの証券投資信託会社、ファンド、その他証券業に付随する金融ビジネス会社の監査にどっぷりと関与できるようになりました。そのままはや10年以上過ぎたような状況でした。
その後、法定監査ではなく金融関連のアドバイザリーサービス部門に希望の上異動し、金融クライアントへのJ-SOX導入支援業務、コンプライアンス態勢構築支援業務に従事しました。
―― 監査法人から組織内会計士になった理由をおしえてください。
日下部氏:私が監査から、アドバイザリーへと仕事を経ていく流れの中で、優れた企業の組織・人・経営者を見るにつけ、会社の外から独立的にあるいは責任分野の業務のところについて意見を表明する、それも監査法人全体として表明するということだけではなく、自分固有の個性と、他人と違う個性で自由に答えを導きたい、また、「最終判断」「意思決定」を自らしたいと思いました。他人事にせず、中に入って「当事者」になって決めていきたい、と思いました。監査法人ではなくいわゆる企業という組織体の中で自分の職責で意思決定を自らしたいと思いました。それができるのが、リスクをとると考える方もおられるかもしれませんが、一つの組織に属し、組織の責任者になることだと思い、ちょうど会社からお招きい� ��だいたため、これも出会いであると、企業に入ることを決断しました。
―― 組織内会計士としての略歴をおしえてください。
日下部氏:SBIホールディングス株式会社 金融コングロマリット経営管理室兼内部監査室 シニアアドバイザーとして、入社。金融庁の規制フレームワークを充足する経営管理態勢を構築することについて金融アドバイザリー業務・証券業務・内部統制の知識を生かして部門横断的にアドバイスを実施。各部門長、CFOらと協働。
SBIホールディングス株式会社 内部監査部長に就任、SBIグループ全体の内部監査(業務・コンプライアンス・システム等に関する監査)、J-SOX上の社内評価に部門責任者として従事。
株式会社SBI証券 取締役 に就任、主に同社の監査部による証券会社業務監査(規制コンプライアンス、システム等の監査)を管掌し、監査部を指導・監督しつつグループ親会社の観点から取締役として業務執行・監督業務に従事。
―― 現在の仕事内容についておしえてください。
日下部氏:上記SBIホールディングス内部監査部長、SBI証券取締役は現職で、上記記載が業務内容です。
―― 組織内会計士として公認会計士であることの強みとは何でしょうか。
日下部氏:私は経理会計関連業務に直接携わっているわけではありませんが、株式会社・企業である以上、管理業務を含めたあらゆる業務において財務・会計感覚は必須です。そので、管理業務の趣旨・枠組みについては内部統制などの知識があってこそ自分オリジナルの施策も考えることができます。
また、卑近な話ではありますが、内部監査部門長としてグループ他社、社外の担当者、規制当局(金融庁・国税庁)と接触するにあたり、「公認会計士」のタイトルは信頼を勝ち得るために有利です。交渉上、うまく進められることもあります。
―― 企業内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか(資質やスキルなど)。
日下部氏:自分で考え、自分で判断し、コミュニケーションを積極的にかつ正しくとれること。
監査法人と「企業」は違います。企業という組織、経営者の意思決定についてきちんと理解して動ける資質と知識は必要ではないでしょうか。
会計士としてスタッフ業務をするのであれば会計と監査かもしれませんが、組織に所属して可能性を広げたい人にとっては会計士のスキルとキャリアにこだわるよりもそれをベースに自分の全体をもっと積極的にプロデュースする生命力でしょうか。
―― 組織内会計士になってみて感じていること、勉強になったと思うことをおしえてください。
日下部氏:私は日常的に部門責任者同士の折衝、子会社等の経営者、自社の経営者を身近に見ており、ひとことでいうと優れた本当の人間力がある人、本当の「じあたま(地あたま)」がいい方にたくさん巡り会え、それを勉強どころか、少しでも、盗んででも吸収して自分のものにできる機会に恵まれていると感じています。
―― ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか。
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